歯周病の検査
病原菌を特定して的確にアプローチします
歯周病は、さまざまな歯周病原因菌による感染症です。口腔内にどのような菌がどれだけいるのかを把握し、その内容に応じたアプローチを行うことが、歯周病治療では重要なのです。歯周病専門治療・口臭専門治療を行っている東京港区の歯科医院「東京浜松町大西歯科クリニック」では、細菌検査に基づいた最新の歯周病治療を行っています。
細菌検査の目的
これまでの歯周病治療では、手技によって歯垢や歯石などを除去することがメインでした。確かに歯垢や歯石は歯周病菌のすみかとなりこれらを確実に除去することはとても大切ですが、それらを除去しても口の中にはたくさんの歯周病菌が残っているため、なかなか効果が出にくいという問題があります。
しかし近年になって、歯周病菌に効果的な薬が分かってきました。つまり歯周病菌の種類さえ特定できれば、その菌に薬を使うことでより効率的に歯周病菌を減らし、歯周病を根本的に治療することが可能になったのです。細菌検査はそのために行います。
位相差顕微鏡検査について
位相差顕微鏡検査では、口腔内の歯垢を少し採取し、それを位相差顕微鏡で観察することで特定の歯周病菌やカビ菌を確認します。歯周病の要因となる細菌には下記のような種類があり、それぞれ対応策が異なります。
おもな細菌やカビの種類
口腔内にはさまざまな細菌やカビが存在しており、健康トラブルの原因となっています。こういった菌類を歯周内科治療で除去していくことで、症状の改善や予防だけでなく「口の中がサラサラになる」「爽快感を感じる」といった効果も期待できます。
トレポネーマ デンテイコーラ
重度の歯周病の患者さんの口腔内にたくさん存在する菌で、この菌がいると、ほかの菌も増えやすくなります。動きが速く、らせん形をしているのが特徴です。
カンジダアルビカンス
歯垢の中にはたくさんのカビが存在しており、中でも代表的なのが「カンジダ」です。
口腔トリコモナス
重度の歯周病の患者さんによく見られる、細菌を食べる菌です。
歯肉アメーバ
白血球を食べるため、抵抗力の低下につながります。重度の歯周病の患者さんの口腔内で特によく見られます。
動画引用:一般社団法人国際歯周内科学研究会
DNA検査(リアルタイムPCR法)
位相差顕微鏡での目視による判別が難しい歯周病菌に関しては、「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」を用いたDNA検査を行います。DNA検査によって、複数存在する歯周病菌の比率を正確に把握することができます。 ※遺伝子検査(DNA検査)=歯周病菌の遺伝子を調べる検査
DNA検査の検査方法
紙製の細い爪楊枝の様なものを歯周ポケットに差し込んで菌を吸い上げ、菌を調べます。痛みはほとんどありません。約1週間ほどで結果がわかるので、この結果によって治療方針が決まってきます。
写真引用:一般社団法人国際歯周内科学研究会「歯原性菌血症が原因で起きる病気の予防のススメ」より
DNA検査によってわかる菌の種類
菌名 | 菌の説明 | 略称 |
---|---|---|
Porphyromonas gingivalis |
重度の歯周病(急性・慢性歯周炎) から検出される菌です。 |
P.g |
Treponema denticola |
この菌が多いと歯周病治療後にも再発するリスクが高いという報告もあります。 歯周病の増悪の目安になります。 |
T.d |
Tannerella forsythia |
歯周ポケットの浅い部分より、特に深い部分で検出されることが多い菌です。 難治性歯周炎症の指標として重要な菌種です。 |
T.f |
Aggregatibacter actioomycetemcomitans |
重度歯周病の患者様の歯周ポケットから高率に検出される菌ですが、 低い数値で検出されることが多いです。 |
A.a |
Fusobacterium nucleatum |
歯周内科治療を行う上で非常に消えにくい菌です。 また悪臭(口臭)の原因となる菌です。 |
F.n |
※当院では、上記の5つの菌を調べています。
歯原性菌血症とは?
歯周病と同様に、お口の中の細菌やカビが起因となる怖い病気はたくさんあります。例えば「歯原性菌血症」は、お口の中のバイオフィルム(歯周病菌などの棲み家)に潜む細菌が血液の中に侵入する病気です。
バイオフィルムは、歯と歯茎の間が一般的ですが、そのほかにも歯の神経の中や歯の根の外側などにできます。そこから細菌が血管へ入り込み、身体のさまざまな場所に運ばれるのです。その結果、動脈硬化、糖尿病、心疾患、早産・低体重児出生などを引き起こすと言われているのです。近年ではアルツハイマー病のリスクも報告されています。
歯周病菌は歯を支える骨を溶かすだけでなく、実は多くの生活習慣病といわれる全身疾患の原因となるもので、これを除菌し、歯石歯垢を除去し、メインテナンスしていくことは、本当に大切なことなのです。