歯周組織再生療法
歯周病で失われた顎の骨を再生する治療
歯周病は、進行するとともに歯肉や顎の骨などの歯周組織を溶かしていきます。失った歯周組織の完全回復は困難ですが、「歯周組織再生療法」を行うことでもう一度、取り戻すことが可能です。東京港区の歯科医院「東京浜松町大西歯科クリニック」では、歯周組織再生療法をはじめとした歯周病の専門治療を行っています。
歯周組織再生療法を成功させるポイント
歯周組織再生療法を成功に導くためには、ドクターの腕はもちろん、患者さんご自身のがんばりも必要です。こちらでは、治療を成功させるポイントについて挙げますので、私たちと二人三脚でゴールを目指しましょう。
ドクターが尽力すること
- 精密な診査と診断を行い、その結果から歯周組織再生治療が適応できるか判断する。
- 事前にスケーリング(歯石除去)やルートプレーニング(より深部の歯石除去)を施し、歯ぐきの炎症を抑えておく。
- 咬合性外傷(中心位という正しい咬み合わせの位置と、中心咬合位という習慣的に咬む位置のズレによって歯が揺さぶられている状態や、顎を前後左右に動かしたときの不調和から歯がぐらついて周りの骨や歯茎が破壊されている状態。歯ぎしりやくいしばり、噛みしめなどの習癖で起こることもあります)が見られる場合は、フェイスボウやKavo咬合器を使った咬合診断によるかみ合わせの調整や、スーパーボンドという接着剤で揺れている歯を一時的に固定したり、マウスピースを就寝時につけて歯のグラつきを守る方法もあります。又、漢方治療で精神的な問題を緩和したり、最新の「オーソモレキュラー」という栄養療法の食事指導や栄養指導で歯ぎしりやくいしばりを緩和することも行っております。
患者さんに頑張っていただくこと
- 毎日のブラッシングなどホームケアをしっかりと行って、口の中を清潔に維持すること。
- 但し手術後は手術した歯の周りを全体安静にし、2~4週はブラッシングもしてはいけません。
- 刺激のある食べ物はやめて、ひと月くらいは手術した側と反対で咀嚼すること。
- 歯周病の発症や悪化に影響を及ぼすとされている喫煙や糖尿病などの要因を極力減らす。
- 歯周病菌の好きな糖質をなるべく摂らずに、傷を早く治すタンパク質中心の食事にすること。
当院で行っている歯周組織再生療法
歯周病は、歯と歯茎の間に細菌が溜まり、その塊が原因で炎症を起こす病気。重度にまで進むと、顎の骨を溶かし歯が抜け落ちる怖い病気です。日本人の歯が抜ける原因第一位でもあります。
お口に違和感があるのに治療しないで放置すると、歯周ポケットの奥深くにどんどん細菌が溜まっていき悪化します。重症化した場合は、麻酔をかけ、歯ぐきを切開して、細菌の塊や歯石が出す毒素などをかき出して原因除去する外科手術が必要になります。こうなる前に、早期発見・早期治療が大切です。当院では、失った歯槽骨や付着歯肉などの歯周組織を再生回復するための治療を行っています。
CGF・AFG 再生療法
【CGF(Concentrated Growth Factor)、AFG(Autologous Fibrinogen Glue)について】
CGFは患者さんから採血した血液を遠心分離し、血小板とフィブリンのゲルに濃縮した歯周組織再生加工物です。CGF中には、組織増殖因子やサイトカインなどの傷を治りやすくする再生因子成分を含み、歯周組織の再生修復を促進し、止血や痛みの軽減、感染の予防に効果があります。患者さんご自身の血液から作られますので、他の人からの病気が感染する心配はありません。
メリット | 傷の治癒や骨及び歯周組織の再生・修復に効果があります。また、CGFを使用することで、手術後の痛みや感染を抑え、治癒を早める効果が期待できます。歯周組織再生療法に用いる充分な利点があると考えています。 |
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デメリット | 採血の際、不快症状や皮下出血、神経損傷、等が、極まれに起こることがあります。 |
幹細胞サイトカイン歯周組織再生誘導療法
サイトカイン療法とは
サイトカインとは、幹細胞から分泌されるタンパク質で細胞の増殖や分化の働きをしています。これを利用し、歯周病により破壊された歯根膜細胞の遊走や、歯を支えている骨の増殖または分化し、歯周組織の再生を促進します。また歯周病による炎症の消失や歯肉の再生・退縮(歯茎やせ)の予防もできます。
幹細胞とは
私たちの体はおよそ60兆億の細胞で構成されており、その細胞を生み出す元となるのが幹細胞です。
幹細胞は様々な細胞へと変化する可能性を持つ特殊な能力があります。 自己複製能という自分とまったく同じ細胞を複製する能力と、多分化能という様々な種類の細胞へ分化する能力があります。病気やケガで組織がダメージを受けても幹細胞が新しい細胞を生み出し、その組織は再生すると言われています。
特に幹細胞の中でも研究が多く行われているのが脂肪幹細胞です。主な働きは創傷治癒・分化などで、すでに糖尿病や心筋梗塞・アレルギー疾患など様々な病気に対する治療への適用が試みられており、脂肪肝細胞は、様々な疾患治療への応用が期待されています。
幹細胞培養液(ステムジェル)
幹細胞培養液とは、幹細胞を培養するときに分泌する成分が多く含まれている培養液のことです。この中にサイトカインや成長因子(Growth Factor)と呼ばれる細胞活性のカギとなる情報伝達物質が豊富に含まれています。 幹細胞培養液には、幹細胞自体は一切入っていないので、倫理的な問題や遺伝子の問題はありません。
幹細胞培養液は日本臨床再生医療学会の細胞培養施設CPC(Cell Processing Center)で製造されています。ここでは、医師や医学博士など専門知識と細胞培養技術者が在籍し、徹底した管理の元で再生医療現場に細胞を提供しております。また、施設内は細胞を培養するために必要な清浄度が保たれているクリーンルームがあります。「ヒト脂肪由来幹細胞培養液」はこのCPCで作られ「INCI名」も取得をしております。
ステムジェルの品質管理
1. 細胞採取基準
日本国内で再生医療に関する届け出が厚生労働省に受理され、厳正なインフォームドコンセントに基づき、全身疾患のない患者様より得られた細胞のみを使用します。
2. 細胞培養施設基準
1で該当するクリニックに隣接した細胞培養加工施設において、厳重に管理されたクリーン環境も下で培養されます。
3. 細胞培養基準
クリーンルームの作業は、衛生管理に基づく防護服着用にて行われます。
ステムジェルの効果
*従来の再生誘導法である人工骨とステムジェルを混ぜることによって歯を支えている骨を再生します。
また、抜歯後の歯肉の陥凹を防ぐために、コラーゲン製の補填材と一緒にステムジェルを使用することで、歯を支えている骨の再生誘導を行います。他にも、抜歯後の止血材と共にステムジェルを使い、歯を支えている骨の再生誘導を行う方法があります。
- 歯肉の炎症があるところに使用することで炎症を抑える効果があります。
- 歯石除去後の歯肉退縮(歯茎がやせて下がり、根が露出すること)を軽減します。
ステムジェルの安全性
万が一ステムジェルを飲み込んでしまったり、皮膚についてしまった場合でも有害性は認められていません。皮膚についてしまったときはふき取りや水洗が必要になりますが、とても安全性が高く、安心して使用できます。
他の治療法との比較
CGF・AFGの代わりに、動物由来の再生材料や人工的に作られた材料を用いる方法がありますが、CGF・AFGは患者さんの体の一部なので、アレルギーの心配がなく感染のリスクも低いです。当医院が使用している歯周組織再生療法材料は、現在、最も安全で効果が高いと言われているものを使用しております。また、以前の歯周組織再生療法にはPRP(血小板血漿)がよく使われていましたが、添加物がある為 感染のリスクがありました。患者さんご自身の血液成分を使用するCGFとAGFはこれに代わるものと言えるでしょう。
CGF・AFGの作り方
採血
患者さんから採血をします。元麻酔科に所属していた院長が、痛みの少ない方法で採血します。
メディフージュ遠心分離器
最新の自己血を使った歯周組織再生療法に使用する遠心分離器です。これにより、血液中の血小板や赤血球が分離され、再生効果が高いフィブリンゲルが形成されます。
採血した血液を遠心分離
わずか13分のメディフージュによる遠心分離を行うことで、血液中の血小板や赤血球が分離されます。
フィブリノーゲンとフィブリンゲル
CGFは、上澄みがは血清で、その下のゲルがフィブリンゲル、AFGはプラスチック製の採血管で採血して遠心分離を行うと、上澄みが液体状の血漿フィブリノーゲンで、最下層が赤血球、白血球、血小板等の血球成分です。
代用骨とAFG
FDBA,DFDBA,BaoOss,βTCP、アパタイトなどの代用骨に液状のAFGを混ぜ、CGFの上澄み血清を加えます。
再生因子で纏めた代用骨
操作しやすい再生因子でまとまった代用骨になります。とても高価ですが、最近ではエムドゲインを代用骨に混ぜて使うことも多いです。
CGFフィブリンゲル
黄色い部分が採取したゲル状のフィブリンゲルです。
膜状にしたCGF
フィブリンゲルを専用のケースで平らに加工して膜状にして代用骨の上や、歯肉が足りないところに使用します。
CO2オペレーザーPRO
一番最新のCO2レーザーを歯周組織再生療法を行った上から照射することにより、傷口の治癒がかなり早く促進されます。歯を抜歯した直後に応用しても、骨の再生に抜群の効果があるという研究が発表されました。
それぞれの治療法のメリット・デメリット
GTR法(歯周組織誘導法)
歯の根の周辺(歯根膜)には、歯周組織を生み出す幹細胞が眠っています。しかし通常は顎の骨が失われたスペースに歯肉が入り込んでくるため、幹細胞による歯周組織の再生を邪魔してしまいます。そこで行うのが「GTR法」という歯周組織再生療法です。再生させたい部分に「メンブレン」という特殊な膜を入れてスペースを確保し、歯周組織の再生を促します。
メリット |
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デメリット |
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エムドゲイン法(歯周組織再生療法)
GTR法と同じく歯周組織の再生を促す治療法です。GTR法では膜で再生用のスペースを確保しますが、こちらは再生させたい部分に「エムドゲインゲル」という薬剤を注入することで歯周組織の再生を促します。
メリット |
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デメリット |
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FGG(遊離歯肉移植)
「FGG(遊離歯肉移植)」は、上顎の口蓋から上皮のついた歯肉を切り取り、移植する治療です。下がってしまった歯茎を再生するのに有効です。
メリット |
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デメリット |
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CTG(結合組織移植)
「CTG(結合組織移植)」は、FCGと同じく下がってしまった歯茎を再生する外科治療です。こちらは上顎の口蓋から「結合組織」のみを切り取り、歯肉が足りない部分に移植します。
メリット |
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デメリット |
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術前・術後で注意すべきこと
術前
- 食事は手術の二時間前までに軽く済ませておきましょう
- 必ず手術前に丁寧なブラッシングを行い、清潔な状態でご来院ください
- 化粧やアクセサリーの着用は避け、楽な服装をなさってください
- 煙草は術後経過に影響するため、術前2週間は必ず禁煙してください
術後
- 術部の反対側を使い、術後1週間はやわらかい食事
- 低刺激の流動食などをとってください
- 食後は処方されるうがい薬を使用してください
- ブラッシングでは、歯科医師の指示があるまで術部に歯ブラシを当てないようにしてください
- 手術当日はお風呂に入らずシャワー程度でとどめてください
- 煙草は術後8週間、必ず控えてください
- 激しい痛みや発熱などがある場合は早めに当院までご相談ください
その他、歯周病で気にあることがありましたら、歯周病のよくある質問をご覧下さい。